少女は目が覚めた。
井戸のような狭い穴の底にいた。
上には金属製の側溝のふたがはめられており、網目から光がさしていた。
四方をコンクリートの壁で塞がれ、上には鉄製の蓋。
何者かによって閉じ込められてしまったようだ。
いつも手にしているモップのようなステッキは見当たらなかった。
ここから抜け出すには上の蓋を外すしかないようだ。
少女は蓋を掴んだ。
「う~ん!」
蓋はびくともしなかった。
「ハア、ハア・・・」
手が痛くなってきた。
蓋が開かないとここから出られない。
少女は途方に暮れた。
ふと足元を見ると、底が黒い液体が溜まっているのが見えた。
液体はタールのように粘り気が強く、少女の長靴に纏わりついていた。
「ひやっ!」
足を上げると、長靴の底にこびりついたタールが糸を引いた。
「うっ、なにこれ・・・」
タールが絡みつくことで足は重くなり、動きづらくなった。
たとえ蓋が外れたとしても、側溝から這い上がることもできないだろう。
タールが深くなったような気がした。
先ほどまで見えていた長靴のつま先がタールに埋もれていたからだ。
少女は辺りを見回すと、壁に開いた穴からタールが流れ込んでいるのが見えた。
流れ込んだタールは少女の足元に溜まっていた。
「うう・・・はやく抜け出さないと・・・」
タールの流れ込む量が増え、足元のタールはどんどん深くなっていった。
(長靴の深さまで来る前に蓋を外さないと)
少女は蓋を必死に持ち上げようとしたが、びくともしなかった。
すると、ふくらはぎに冷たい感触が走った。
恐る恐る、足元を見ると、長靴の中にタールが入り込んでいるのが見えた。
冷たいセメントのようなタールを流し込まれ、少女の脚は動かなくなった。
少女はこの穴から自力で抜け出すことはできなくなってしまった。
「いやああああっ!たすけてええええっ!」
少女は悲鳴を上げた。
自力で抜け出せなくなった以上、助けを呼ぶしか方法はなくなったのだ。
「だれかああああっ!たすけてええええっ!」
しかし、誰も来る気配はなかった。
この地下水道はタールの魔物に汚染され、誰も近づけなくなっていた。
お掃除魔法少女としての力をもった彼女だけが侵入できたのだ。
「いやああああああああああああああっ!」
少女は誰にも届くはずのない悲鳴を上げ続けた。
その間にもタールはどんどん深くなっていった。
太もも、スカート、エプロン・・・。少女の可愛らしい衣装がどんどんタールの中に沈んでいった。
→続きは1/19(日)に投稿予定です