「これ…何かヤバイかも!っとと…うわぁ!」
危険を察知し逃げ出すチカヨシが転んでしまった理由は、何かにつまづいたからでも足がもつれたからでもなかった。
「なんだ…コレ…?」
のし…のし…。ゆっくりと歩いて近づいてくるモンスターの姿を見て、チカヨシは自分の身に何が起きているかを把握する。
「嘘…だろ…!?逃げ…なきゃ…!」
慣れない尾びれ、動きにくい陸地の上で、チカヨシはじたばたともがくことしかできなかった。そうしている間にも身体の変化は進んでいく。
「やめろ!!来るんじゃない!!」
陸に上がった魚のように不自由な体のチカヨシにできるのは、叫び声をあげることだけだった。
「ファイアァ…ボォル…!」
自分の顔をしたモンスターが詠唱した呪文は紛れもなく自分の声で。
「熱っっ…!!」
魚の焼ける臭いは、間違いなく自分の体から。
「こ、こんな…ことが…!!こんな…ことがァッ……!!」
次第にモンスターの声しか出せなくなる喉に、自分が完全なモンスターになり果てた絶望を抱えながら、チカヨシは意識を手放した。
(BAD END)
ゼピサ
2025-12-29 02:20:26 +0000 UTC